和製英語とは、英語の単語を使って日本で作られた言葉や、日本語の中で意味が変わった外来語のことです。たとえば「マンション」は mansion (大邸宅)ではなく apartment 、「クレーム」は claim ではなく complaint 、体型の「スマート」は smart ではなく slim 、「ナイーブ」は naive ではなく sensitive と言います。
和製英語やカタカナ英語と呼ばれる言葉は、大きく三つのタイプに分かれます。タイプによって間違い方が違うので、見分け方を知っておくと、初めて見る言葉でも「これは危ないかもしれない」と気づけるようになります。
| タイプ | 例 | 英語での問題 |
|---|---|---|
| 英語にある単語だが、意味が変わった | マンション、スマート、クレーム、ナイーブ | 通じるが、別の意味で受け取られる |
| 英語の部品を日本で組み合わせた | ペーパードライバー、モーニングコール、ベビーカー | 英語にない組み合わせなので通じない |
| 英語を短く縮めた | パソコン、エアコン、リモコン、コンビニ | 元の英語を知らないと伝わらない |
いちばん危ないのは一つ目です。 mansion も smart も英語として正しい単語なので、相手は聞き返さずに、英語の意味で理解したまま話を進めます。 I live in a mansion と言えば、相手は本気で大邸宅を想像します。誤解されたことにさえ気づけないのが、このタイプの怖さです。
なお、「アルバイト」(ドイツ語)、「ノルマ」(ロシア語)、「ランドセル」(オランダ語)のように、カタカナでも英語ではない言葉もあります。カタカナで書かれているからといって、英語だとは限りません。
人をほめたつもりが失礼になる、というすれ違いが起きやすいのがこの分野です。特に「スマート」と「ナイーブ」は、英語では意味がはっきり違います。
| カタカナ語 | 英語でそのまま言うと | 自然な英語 |
|---|---|---|
| スマート(細い) | smart は主に「頭がいい」 | slim, slender |
| ナイーブ(繊細) | naive は「世間知らず、考えが甘い」 | sensitive |
| スタイルがいい | style は服装や話し方の「様式」 | She has a great figure. |
| マイペース | 英語にない言い方 | He does things at his own pace. |
| ハイテンション | tension は「緊張」 | She's full of energy. |
| ナルシスト | narcissist はかなり強い否定語 | He's a bit full of himself. |
smart は、アメリカ英語ではまず「頭がいい」「賢い」の意味です。 She's so smart は彼女の知性をほめる言葉で、体型の話にはなりません。イギリス英語では「身なりがきちんとしている」という意味でも使い、 a smart suit は「きちんとしたスーツ」です。どちらの場合も、細いという意味はありません。
naive は日本語の「ナイーブ」と特にずれが大きい言葉です。日本語では「繊細で傷つきやすい」という、どちらかといえば好意的な意味で使いますが、英語では経験が浅く、人を簡単に信じてしまう、という批判的な評価になります。 It was naive of me to believe him は「彼を信じるなんて、私が甘かった」という意味です。部下や同僚を He's naive と評すると、悪口として受け取られます。
| カタカナ語 | 英語でそのまま言うと | 自然な英語 |
|---|---|---|
| マンション | mansion は庭や門のある大邸宅 | apartment, condo |
| コンセント | consent は「同意」 | outlet (米), socket (英) |
| クーラー | cooler は飲み物を冷やす箱 | air conditioner, AC |
| レンジ | range は米国ではオーブン付きのコンロ | microwave |
| ペットボトル | 日常会話ではほとんど使わない | plastic bottle |
| シール | seal は「封印」や動物のアザラシ | sticker |
| リフォーム | reform は制度などの「改革」 | renovate, remodel |
マンション は英語圏で自己紹介をするときに、いちばん誤解を生みやすい言葉です。集合住宅の一室に住んでいるなら I live in an apartment で十分です。分譲の部屋を所有していることを言いたいなら、アメリカ英語では I own a condo とも言います。
| カタカナ語 | 英語でそのまま言うと | 自然な英語 |
|---|---|---|
| クレーム | claim は「主張」「請求」 | complaint |
| ミス | miss は「逃す」「恋しく思う」 | mistake, error |
| ノルマ | ロシア語由来で英語ではない | quota, target |
| アフターサービス | 英語にない組み合わせ | customer support, after-sales service |
| ホームページ | homepage はサイトのトップページ | website |
| マンツーマン | man-to-man は「男同士の率直な」の意味が中心 | one-on-one |
| スキルアップ | 英語にない組み合わせ | improve my skills |
クレーム は、仕事の場面で誤解されると影響が大きい言葉です。英語の claim は、何かを事実だと主張すること、または保険金や損害の支払いを正式に請求することです。 We received a claim from a customer と言うと、保険や賠償の請求があったように聞こえます。お客様から苦情があったのなら We received a complaint from a customer 、苦情を言うことは make a complaint または complain と言います。
ミス も同じように注意が必要です。「私のミスです」は It was my mistake 、または My mistake と言います。 miss は動詞として「電車に乗り遅れる」 miss the train や「会えなくて寂しい」 I miss you の意味で使い、名詞で単独に「間違い」を表すことはまずありません。
海外旅行の場面では、和製英語を使うと、その場で欲しいものが手に入らないことがあります。ホテルや空港、レストランでよく使う言葉を確認しておきましょう。
| カタカナ語 | 自然な英語 | 使い方の例 |
|---|---|---|
| フロント | front desk, reception | I'll ask at the front desk. |
| モーニングコール | wake-up call | Could I get a wake-up call at six? |
| バイキング | buffet | Is breakfast a buffet? |
| フライドポテト | fries (米), chips (英) | A burger and fries, please. |
| サイン | signature, autograph | Could I have your signature here? |
| ガソリンスタンド | gas station (米), petrol station (英) | Is there a gas station nearby? |
| ハンドル | steering wheel | The steering wheel is on the right. |
| ベビーカー | stroller (米), pushchair (英) | Can I bring a stroller on the bus? |
サイン は少しややこしい言葉です。英語の sign は名詞では「標識」や「看板」、動詞では「署名する」です。書類への署名は signature 、有名人のサインは autograph と使い分けます。動詞として Please sign here と言うのは正しい英語なので、「ここにサインしてください」は Please sign here で通じます。
| カタカナ語 | 英語でそのまま言うと | 自然な英語 |
|---|---|---|
| ワンピース | one-piece は水着を指すことが多い | dress |
| トレーナー | trainer は「指導者」、英国では運動靴 | sweatshirt |
| パーカー | parka は厚手の防寒コート | hoodie |
| オーダーメイド | 英語にない組み合わせ | custom-made, made-to-order |
| パソコン | personal computer を縮めた形 | computer, laptop, PC |
ここまで見てきた言葉に共通するのは、どれも日本語として毎日使っていて、英語でも通じると思い込みやすいことです。英語の会話で、カタカナ語をそのまま英語の発音にして使う前に、次の二つを確かめる習慣をつけると、多くの誤解を防げます。
英語話者は、意味の分からない言葉をいちいち聞き返すとは限りません。会話の流れから推測するか、別の意味で受け取ったまま話を進めます。相手の反応が少しずれていると感じたら、自分が使ったカタカナ語を疑ってみてください。
新しく覚えた言い方は、実際に声に出して使うと定着します。ホテルのフロントやカフェでの注文を想定して、 PollyStop の音声チューターとの会話で、今日の表現を一つずつ試してみてください。
日本の集合住宅を指す意味では間違いです。英語の mansion は、広い敷地に建つ大邸宅のことです。集合住宅の一室なら apartment 、アメリカ英語で分譲の部屋なら condo と言います。
あります。ただし体型ではなく、服装がきちんとしている、という意味です。特にイギリス英語で smart clothes や You look smart のように使います。体が細いことを言うなら slim や slender を使います。
使えません。英語の naive は、経験が浅くて考えが甘い、人を信じすぎる、という否定的な意味です。繊細で傷つきやすい、と言いたいときは sensitive を使います。
日本語の中で使う分には問題ありません。注意が必要なのは、英語で話すときにそのまま持ち込むことです。英語の会話で使う前に、英英辞典で意味と例文を確かめる習慣をつけると安心です。