冠詞の a と the は、「相手がどれのことか分かるかどうか」で選びます。初めて話題に出すものや、どれでもよい一つには a 、相手もどれか特定できるものには the を付けます。ただし、数えられる名詞の単数形には必ず何かを付けます。 I have question ではなく I have a question です。
日本語には冠詞がありませんが、似た働きをする仕組みはあります。昔話の始まりを思い出してください。「昔々、あるところにおじいさんがいました。おじいさんは山へしばかりに行きました。」最初は「おじいさんが」、二回目は「おじいさんは」になっています。
英語にすると、 Once upon a time, there was an old man. The old man went to the mountains. となります。初めて登場するときは a 、二回目からは the 。日本語で「が」から「は」に変わるのと、ちょうど同じタイミングで冠詞が変わっています。もちろん「が」と「は」が冠詞と完全に対応するわけではありませんが、「聞き手がもう知っているかどうか」で言い方を変えるという感覚は、日本語話者もすでに持っているのです。
名詞を言うたびに、次の三つを順番に確かめると、冠詞の迷いは大きく減ります。
| ステップ | 確かめること | 例 |
|---|---|---|
| 一 | 数えられる名詞か、数えられない名詞か | book は数えられる、 water は数えられない |
| 二 | 単数か、複数か | a book 、 two books |
| 三 | 相手もどれのことか分かるか | a book (ある本)、 the book (その本) |
この結果、使える形は次のようになります。数えられる名詞の単数形は、 a か the か my などが必ず必要です。複数形と数えられない名詞は、何も付けずに使うこともできます。日本人の英語でいちばん目立つのは、一つ目の規則を落として I bought new car のように言ってしまう間違いです。正しくは I bought a new car です。
日本語では「一つのアドバイス」「三つの情報」と自然に言えるため、英語でも数えられると思い込みやすい名詞があります。これらには a を付けず、複数形にもしません。
| 日本語 | 間違えやすい形 | 正しい形 |
|---|---|---|
| アドバイス | an advice, advices | some advice, a piece of advice |
| 情報 | an information, informations | some information |
| 家具 | a furniture, furnitures | some furniture, a piece of furniture |
| 荷物 | a baggage, luggages | my luggage, two bags |
| 宿題 | a homework, homeworks | a lot of homework |
| ニュース | a news | some news, a piece of news |
| 仕事(作業) | a work, many works | a lot of work, a job |
仕事に関しては注意が必要です。 work は「作業、労働」の意味では数えられませんが、 job は数えられます。「仕事が見つかった」は I found a job 、「今日は仕事が多い」は I have a lot of work today です。荷物を数えたいときは、 I have two bags のように数えられる別の名詞に言い換えると自然です。
the は、前に話に出たものだけに付くわけではありません。その場の状況や常識から、相手がどれのことか分かるときにも使います。日本語で「駅」「トイレ」「窓」と、何の説明もなく言えるものがそれにあたります。
反対に、 I'll meet you at a station と言うと、どこかの駅で、という意味になり、待ち合わせが成り立ちません。日本語では「駅で会おう」で通じる場面ほど、英語では the が必要になると覚えておくとよいでしょう。
「犬が好きです」のように、ある種類のもの全般について話すときは、数えられる名詞なら複数形を使い、冠詞は付けません。
| 英語 | 伝わる意味 |
|---|---|
| I like dogs. | 犬というもの全般が好き(自然な言い方) |
| I like the dogs. | その場にいる、特定の犬たちが好き |
| I like a dog. | ある一匹の犬が好き(一般論としては不自然) |
| I like dog. | 冠詞も複数形もないと、食べ物としての犬肉のように聞こえる |
最後の例は、数えられる名詞を数えられない名詞のように使うと、物の「材料」や「肉」の意味になる、という英語の仕組みから来ています。 I like chicken が「鶏肉が好き」の意味になるのと同じです。日本語の「犬が好き」をそのまま訳すと起きやすい間違いです。
反対に、習慣的に冠詞を付けない表現もあります。これは規則で考えるより、まとまりとして覚えるほうが早い部分です。
go to school に the を付けると、勉強しに行くのではなく、建物としての学校に行く、という意味合いになります。保護者が面談で学校に行くなら go to the school と言うことができます。
仕事の自己紹介は、冠詞の間違いがいちばん目立つ場面です。次の形をそのまま使えるようにしておきましょう。
冠詞は、完璧に使えなくても意味が通じなくなることは多くありません。まずは数えられる名詞の単数形に a を落とさないことから始めると、英語の印象がぐっと自然になります。 PollyStop の音声チューターとの会話や、ホテルやカフェでの短いやりとりで、 a と the を意識しながら声に出して練習してみてください。
相手がどれのことか分かるかを考えてください。分かるなら the 、初めて話題に出すものや、どれでもよい一つなら a です。数えられる名詞の単数形なら、何も付けないという選択肢はほとんどありません。迷ったら少なくとも a を付けるほうが自然です。
後ろに来る単語の綴りではなく、その最初の音で決めます。母音の音で始まるなら an 、子音の音なら a です。 an hour は h を発音しないので an 、 a university は「ユ」の音で始まるので a になります。
英語ではこれらが数えられない名詞として扱われるからです。日本語では「一つのアドバイス」と言えますが、英語では some advice や a piece of advice のように表します。複数形の advices や informations も使いません。
多くの地名や駅名、人名には付けませんが、川、海、運河のような名前には the を付けます。 Tokyo Station や Mount Fuji には付けず、 the Sumida River や the Pacific Ocean には付けます。